ウェブサイトを現物出資して法人成りする場合は税金に注意

ご存知だと思いますがホームページも現物出資できます。
注意を要するのは税金です。色んなサイトを見てもホームページも現物出資できますが税金がかかる場合もありますくらいまでしか書かれていません。従って税理士さんに相談したほうがいいですが以下現物出資での法人成りに必要な手続き、書類などをご紹介したいと思います。

現物出資での合同会社設立に必要書類

合同会社の現物出資のやり方は基本的には株式会社と同じですが、必要書類などが多少違いますので以下私がやった方法を載せておきます。

私の場合は現金140万円とウェブサイトをいくつか現物出資して160万円、総額300万円の資本金にしました。
まず現物出資に特有の添付書類をあげておきます。

法務局に出す書類

財産引継書・・・車やPC、ウェブサイトなどを会社に譲渡等をしたという証明書みたいなものです。
資本金の額の計上に関する証明書・・・金銭のみ出資する場合は不要とされていますが現物出資していますので必要になります。
払込証明書・・・金銭のみの場合でも添付しますが、現物出資している場合は給付証明も必要になってきますので払い込み及び給付証明書という形で書類を作りました。

※調査報告書・・・株式会社の設立には現物出資500万円以下で必要な書類ですが合同会社には不要です。

現物出資の内容については定款に定めておけば別途書類を作る必要はありませんので定款に定めておきました。
従って添付書類は以上で終わりです。
各書類のテンプレ、ひな形はネット上にたくさん落ちているのでそれを使って問題ないです。

現物出資する場合の定款のひな型

PCや車などを現物出資する場合の書き方はたくさんネットに落ちていますが、ウェブサイトについては断片的であまり情報がありませんので私が定款に書いたものを載せておきます。

まず定款の記載の仕方ですが、これも様々なやり方があるようで混乱しがちです。そもそも現物出資を定款に記載する必要がないと説明されているサイトもあります。
が、定款に記載したほうが面倒がないので定款に記載しました。

第2章 社員及び出資
(社員及び出資)
第5条 当会社の社員の⽒名⼜は名称及び住所、社員の出資の⽬的及びその価額は次のと
おりである。
⾦ 140万円 住所※印鑑証明書の通りに記載
有限責任社員 氏名※旧字体などは関係ないようですのでPCで通常入力できる文字で記載していいようです。
(2)当会社の設⽴に際して⾦銭以外の財産を出資する者の⽒名、その財産及びその価
額は、別表のとおりとする。

のようにして定款の最後に別表として以下のように記載しました。

(定款別表)
当会社の設⽴に際して⾦銭以外の財産を出資する者の⽒名、その財産及びその価額は、次
のとおりとする。
1 ⾦銭以外の財産を出資する者の⽒名
氏名のみで可
2 当該財産及びその価額
(1)○○に関するウェブサイト http://○○○/
営業権としての価額 ⾦120万円
(2)○○○に関するウェブサイト http://●●●●/
営業権としての価額 ⾦ 15万円
(3)○○○○に関するウェブサイト http://●●●●●●/
営業権としての価額 ⾦ 15万円
(4)○○○○○に関するウェブサイト http://○●●●●●/
営業権としての価額 ⾦ 10万円
以上、この価額の合計 ⾦160万円

税務署に法人設立届を出す場合の添付書類

会社設立は登記だけで終わりません。税務署への届け出もしておかないと色々とめんどうです。社会保険関係は一人会社の場合であれば、やらなくても特に問題ないとも言えますが。
この税務署への法人設立の届け出の際には定款と履歴事項全部証明書が最低限必要です。
が、現物出資している場合はこれとは別にその内容が分かるようにしなければいけないようですので定款に記載していればその添付書類を作る手間が省けるというわけです。

ウェブサイト=営業権を現物出資した後の確定申告の事を忘れない

また、営業権として記載していますが必ずそうしなければいけないというわけではないと思います。様々なサイトを見てこの書き方が一番無難だろうと思い記載しましたが特に何の指摘もなく登記されました。営業権にすると調べると分かりますが税金や会計上の問題で厳密に処理しようとするとかなり面倒です。したがってソフトウェアなどとして制作にかかった費用などを計上するというやり方もあるようですがいずれにしても税金などを考慮すると税理士さんなどに相談したほうがいいと思います。

今の時代資本金1円でも会社は作ることができますが、登記簿=履歴事項全部証明書は誰でもとれる書類です。それにはしっかりと資本金がのっていますが資本金は大いに越したことはありませんね(実際は1000万円以下のほうがよいですが)
従って現物出資により資本金を大きく見せるのはビジネス上ありな作戦だと思います。登記簿には現物出資のことは一言も触れられておりませんので安心してください。

現物出資は税金がかかるおそれがある

ただ、前述のごとく税金のお話があります。

通常現物出資するのが多いのは法人成りの場合(個人事業主が法人化する)が多いとは思いますが、車やPC、あるいは不動産なんかも現物出資できますよね。
そうなると、個人の名義だったものを法人の名義に代える必要があるものもあったりします。
話がややこしくなるのでウェブサイトを現物出資する場合、つまり今回の私のように営業権として現物出資する場合そもそも税金が発生するのか?発生するとして法人にかかってくるのか?それとも私が払うのかは結構重要な問題です。

お気づきの通り、160万円も現物出資し、それが全て個人事業主の私の収入とみなされると来年払う住民税や国民健康保険税はかなり多くなることが予想されます。

ざっくり言えば営業権として会社にウェブサイトを売却して出資金としての資産価値がある(現実にはお金のやりとりはありませんが)ので譲渡所得がかかってくる場合があるということでしょうか。
ただ、色々と調べますと営業権、いわゆるのれんを簿価で譲渡している場合などは税金がかからないなど非常に複雑で正直素人にはわかりません。現物出資する場合と単に営業権を売却した場合では違いますからね。簿価で売却してしまうと資産はプラマイゼロですが、現物出資はあくまで出資分としては価値がありますし、簿価と言われましても資産としてそもそも計上していませんし、簿価自体の判断もよく分かりません。

ウェブサイトを現物出資したら会社の休眠が認められにくくなる可能性

会社を休業、或いは休眠状態にしても自治体に休業と認められなければ原則法人住民税均等割がかかってきます。
休業と認められて法人住民税均等割が減免される要件というのが実は決まっていて自治体によってはかなり細かいところをついてくる可能性があります。
そもそもウェブサイトなどを現物出資していてそのサイトが生きている状態だとまったく他に営業をしていなくても、或いはそのサイトを更新していなくても厳密には事業が継続しているとみなされる可能性が高いです。
ついにわが社の清算確定申告が終了し会社がなくなってすっきりした
法人の休業要件
従って休業しようと思う時は現物出資したウェブサイトを閉鎖するか、譲渡してしまうなどしたほうが確実だと思います。
ウェブサイトを現物出資したことは定款などを見れば分かりますし、自治体によっては設立した際に定款などを提出させているところもあると思います。また、休業する際には直近の貸借対照表や損益計算書を提出させるところもありますから注意して下さい。

現物出資する場合は税理士さんに依頼したほうがよい

会計処理としてどのようにすればいいのかはやはり税理士さんなどの専門家に相談したほうが一番いいと思います。いずれにしても法人税の申告を一人でやるのは個人事業の確定申告とは違いかなり面倒です。※私はこのようになりました→現物出資で法人なりした後の確定申告
現物出資にはこのようなデメリットも存在しますのでその点をよくご検討の上現物出資なされたほうがよいでしょう。
参考になる記事がありましたので貼っておきます→法人成り時の営業権の認識