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税務署への会社設立届の際の登記簿はコピーでいいか?

税務署への会社設立届の際の登記簿はコピーでいいか?

法務局で会社を登記して設立の手続きは終了ではありません。ある意味一番怖い税務署への法人設立届を忘れないようにしましょう。
法人設立届と定款、登記簿=履歴事項全部証明書ですが登記簿は原則原本だそうです。
しかし、コピーでも受け付けて貰えました。ここらへんは各担当によって違うかもしれませんが、いずれにしても原本を提出してもコピーをとって返してくれるものと思われます。(県税事務所などでも返してくれと言えば返してくれます。言わないと返してくれないかもしれません。こちらから主張した以上の事をやらないのが公務員です。)
履歴事項全部証明書を窓口で交付してもらうと1通600円もとられる代物ですから出来るだけコピーですませましょうね。
ちなみにオンラインで請求すると郵送料含め500円で済みますのでかんたん証明書請求で請求したほうがいいです。

最低限必要な書類

私が提出した書類
①法人設立届
②青色申告の承認申請書(任意)
③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(任意)
④給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
以上4点についてはコピーをとって原本とコピーを提出してコピーに受付印を押して貰って控えとして保存しておきます。
⑤履歴事項全部証明書(コピー)
⑥定款(コピー)

会社によっては提出する必要がある書類

さて、ものの本などによれば株主名簿=出資者名簿が必要だとか貸借対照表が必要だとか書いてあります。また現物出資については別途その内容が分かるような書類まで必要とか・・・
以上の書類以外にも必要だと言われている書類には下記のようなものがあります。

●棚卸資産の評価方法の届出書(届出ないと自動的に法定評価)
●減価償却資産の償却方法の届出書(届出ないと自動的に法定評価)

商品の仕入れや固定資産など複数ある会社は上記の評価方法について届出を出したほうがいい場合もあると思います。
当社は仕入れなどありませんし、法定評価でいいので提出しませんでした。税金のからむ問題ですのでこの辺りは個別具体的な事情に応じて異なってくるでしょう。

合同会社の出資者名簿、貸借対照表、現物出資の内訳等の書類

合同会社の場合の出資者名簿については定款に記載していれば分かりますから不要です。貸借対照表についても出資した金銭をすべて資本金に充当している場合は不要です。また、現物出資についても定款にその内容を記載しておりますからこれまた不要です。

これもすべてネットで拾った知識で不要と判断しましたがまったく問題なかったようです。
上記書類は税務署への設立届に必要なものとしてずらーっと列記されていますが、原則必要だけど不要な場合もあるという例外的なことについてはあまり情報が少ないですね。ご自分の会社の事情に応じて判断すべき書類もあるわけですが、全部提出しても怒られるわけではないでしょうから分からなければ全部提出してもいいでしょうね。書類の作成自体はそれほど難しいものではないですし。

そもそもこの法人設立届は我々にとっては、今後様々な手続きでこの控えが利用価値はありますし、青色申告などの特典もあります。税務署からしてみれば税金のとりっぱぐれがないようにしたいということも目的でしょう。
確かに現物出資の場合税金が発生する場合もありますからこのあたりきちんと把握しておきたいでしょうしね。

定款に定める本店所在地にマンション名はいるのか?部屋番号は?~定款の作り方

定款に定める本店所在地にマンション名はいるのか?部屋番号は?~定款の作り方

本店所在地を自宅や賃貸マンションにする場合、マンション名や部屋番号まで定める必要があるのか?
あるいは部屋番号まで晒したくない、という要望もあるかと思います。

定款に定める本店所在地は厳密な住所でなくてもよい

まず、定款に定める本店所在地の書き方ですが、マンション名や部屋番号は定めても定めなくてもいいです。
また、法務局に登記する場合の本店所在地も同様に定めても定めなくても構いません。

定款に定める本店所在地は番地まで定めたほうがいい理由

よく言われていますのが定款には最小行政区画まで定めておけば、同一市内で引っ越しした場合であれば定款の変更が不要なので最小行政区画まで(長崎県長崎市など)にしておいたほうがいいということです。
確かにおっしゃる通りですが、そもそも株式会社であっても定款の変更に認証は不要ですし、この一人会社のような小さな会社であれば簡単に定款の変更はできてしまいます。

また、いくら定款に最小行政区画までしか定めていなくても同一市内であっても違う町などに引っ越せば登記の変更が必要になってきますので大して手間は変わりません。

逆に、定款に本店所在地を定めていない場合は法務局に登記申請をする際に本店所在地決定書なる書類を作成して添付する必要が生じます。
本店所在地決定書を作りたくない場合は番地まで定めておきましょう。この場合でもマンション名までは不要です。

従いまして定款に定める本店所在地は番地まで、が無難ということになります。

登記申請の際の本店所在地は登記簿で誰でも見れることを考慮する

では、登記する際の住所はどうしましょうか。登記上の住所は履歴事項全部証明書=登記簿によって第三者にも見ることができますのでこの点を考慮した上で決定しましょう。

登記簿上の住所に郵便物がくることを考慮する

ただ、注意を要するのは登記上の住所あてに郵便物が発送される場合がありますので(銀行口座など)部屋番号がない場合など多少めんどうが生じるかもしれません。
1戸建ての自宅であれば番地まででも郵便物は届くでしょう。
しかし、マンションのような集合住宅ですと部屋番号が分からないと届けようがありません。従って下記にも記載しましたが少なくともマンションなどの場合は部屋番号まで登記したほうがいいと思います。

自宅と事務所が同じだと結局は登記簿で部屋番号が分かってしまう

しかも、自宅が本店所在地の場合はマンション名や部屋番号を隠しても合同会社の場合は履歴事項全部証明書の業務執行社員の住所で分かってしまいますのであまり意味がないとも言えます。
私は定款も登記の場合も番地まで定めましたが、登記した後に上記のことに気づきました。税務署で設立届をしたら国税から法人番号が通知されるのも原則登記上の住所らしいですし、法人名義の口座を作る場合も郵送物が原則登記上の住所あてに送られるので普通に部屋番号まで定めたほうが良かったかなと思います。地番が代表者の住所と同じだから代表者のマンションの部屋番号に送ってくれれば有り難い話ですが...

※追記
税務署からくる法人番号指定通知書が税務署に届けてから2週間たっても到着しませんのでやはり宛先不明で返送されている可能性が高いですね。設立届書に住所を書く際に念のため部屋番号まで付加したほうがいいかもしれません。
法人番号指定通知書はゆうちょ銀行や住信SBIネット銀行の法人口座開設で要求されます。(私はネットで法人番号を検索してそれを印刷しましたが)
楽天銀行法人口座も開設はできましたが、担当者本人宛の郵便物は届きましたが、法人連絡先(原則登記上の住所)宛てに送られてくるサンキューレターはまだきません。その後最終的には楽天銀行とゆうちょ銀行で法人口座の開設が無事にできました→ゆうちょ銀行の法人口座 楽天銀行の法人口座開設がめんどくさかった

また、社会保険事務所や県税事務所などに届けを出す場合は部屋番号を付加した形で連絡先を届けられます。

定款に定める公告方法は何がいいのか?~定款の作り方

定款に定める公告方法は何がいいのか?~定款の作り方

結論から言いますと定款には官報で公告すると規定しておいて構わないと思われます。こちらの記事に分かりやすく記載されていますので一読されてみたほうがいいと思います→会社法の改正・決算公告以外の法定公告

ざっくり要約します。
会社の公告方法は次の3つ
1.官報掲載
2.日刊新聞紙掲載
3.電子公告

決算公告については電子公告がコスト的に安い。
とは言っても決算公告以外を電子公告にする場合は法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関による費用が20万円から30万円程度かかる調査を受ける必要がある。

しかし一定の法定公告については官報での公告が義務付けられている。
ただ、その場合でも官報に電子公告と定めている場合は債権者などへの個別催告が省略できるので大規模な会社は電子公告にするところが多い。

合同会社に決算公告は不要

一番最初に思いつく決算公告ですが合同会社においては決算公告は不要です。
株式会社は毎年やる必要がありますがやってないところも多いかと思いますが、電子公告にする場合はURLを登記する必要がありますのでどうせなら設立登記をする際に一緒にやっておいたほうがいいかもしれませんね。

官報と定めても決算は電子公告にできる

株式会社では決算を公告する必要がありますが、定款には官報で公告すると定めていても決算のみ電子公告できます(会社法440条3項)決算のみ電子公告の導入~日本広告調査

電子公告には登記が必要

しかしながら決算を公開するURLを登記をしておく必要があります。

各公告費用の比較

また、そもそも官報での公告が義務付けられているものもあり、また電子公告を行う場合、決算以外のものは公告調査機関の調査が必要だったりして20万円前後の費用がかかります。 日本広告調査株式会社

公告費用の比較

官報は、2枠なら 60,816円・・・毎年これだけ必要だと考えると一人会社でやる人いるんでしょうか
日刊紙は比較するまでもないので割愛
電子公告を行う業者さんもいくつかございますが年間数万円程度です。ただ、決算公告のみだとかなり安くはなるようですが個人のブログのようなものでも構わないということです。自社のサイトに決算なんかこっぱずかしくて載せられない人はこういった格安サービスを利用するのでしょうか。電子公告の場合は5年間継続掲載の必要があります。また、前述のごとく本格的に電子公告をやろうとすると別途調査費用にかなりかかってきます。

電子公告制度の概要→法務省該当ページ

一人会社のような小さな会社で通常必要な公告は決算くらいのものですから、定款に電子公告と定めても官報で行うと定めてもあまり違いないかもしれませんが官報と定めても決算公告は電子公告はできるわけで、もし決算公告をきちんと行いたい場合は設立登記をするときにURLを登記しておきましょう。
設立後に登記するとご存知のようにお金がかかりますからね。どうせなら設立登記のときに一緒にやっておきましょう。

いずれにしても合同会社においては決算公告さえ不要ですから官報で行うで問題ないでしょう。

ウェブサイトを現物出資して法人成りする場合は税金に注意

ウェブサイトを現物出資して法人成りする場合は税金に注意

ご存知だと思いますがホームページも現物出資できます。
注意を要するのは税金です。色んなサイトを見てもホームページも現物出資できますが税金がかかる場合もありますくらいまでしか書かれていません。従って税理士さんに相談したほうがいいですが以下現物出資での法人成りに必要な手続き、書類などをご紹介したいと思います。

現物出資での合同会社設立に必要書類

合同会社の現物出資のやり方は基本的には株式会社と同じですが、必要書類などが多少違いますので以下私がやった方法を載せておきます。

私の場合は現金140万円とウェブサイトをいくつか現物出資して160万円、総額300万円の資本金にしました。
まず現物出資に特有の添付書類をあげておきます。

法務局に出す書類

財産引継書・・・車やPC、ウェブサイトなどを会社に譲渡等をしたという証明書みたいなものです。
資本金の額の計上に関する証明書・・・金銭のみ出資する場合は不要とされていますが現物出資していますので必要になります。
払込証明書・・・金銭のみの場合でも添付しますが、現物出資している場合は給付証明も必要になってきますので払い込み及び給付証明書という形で書類を作りました。

※調査報告書・・・株式会社の設立には現物出資500万円以下で必要な書類ですが合同会社には不要です。

現物出資の内容については定款に定めておけば別途書類を作る必要はありませんので定款に定めておきました。
従って添付書類は以上で終わりです。
各書類のテンプレ、ひな形はネット上にたくさん落ちているのでそれを使って問題ないです。

現物出資する場合の定款のひな型

PCや車などを現物出資する場合の書き方はたくさんネットに落ちていますが、ウェブサイトについては断片的であまり情報がありませんので私が定款に書いたものを載せておきます。

まず定款の記載の仕方ですが、これも様々なやり方があるようで混乱しがちです。そもそも現物出資を定款に記載する必要がないと説明されているサイトもあります。
が、定款に記載したほうが面倒がないので定款に記載しました。

第2章 社員及び出資
(社員及び出資)
第5条 当会社の社員の⽒名⼜は名称及び住所、社員の出資の⽬的及びその価額は次のと
おりである。
⾦ 140万円 住所※印鑑証明書の通りに記載
有限責任社員 氏名※旧字体などは関係ないようですのでPCで通常入力できる文字で記載していいようです。
(2)当会社の設⽴に際して⾦銭以外の財産を出資する者の⽒名、その財産及びその価
額は、別表のとおりとする。

のようにして定款の最後に別表として以下のように記載しました。

(定款別表)
当会社の設⽴に際して⾦銭以外の財産を出資する者の⽒名、その財産及びその価額は、次
のとおりとする。
1 ⾦銭以外の財産を出資する者の⽒名
氏名のみで可
2 当該財産及びその価額
(1)○○に関するウェブサイト http://○○○/
営業権としての価額 ⾦120万円
(2)○○○に関するウェブサイト http://●●●●/
営業権としての価額 ⾦ 15万円
(3)○○○○に関するウェブサイト http://●●●●●●/
営業権としての価額 ⾦ 15万円
(4)○○○○○に関するウェブサイト http://○●●●●●/
営業権としての価額 ⾦ 10万円
以上、この価額の合計 ⾦160万円

税務署に法人設立届を出す場合の添付書類

会社設立は登記だけで終わりません。税務署への届け出もしておかないと色々とめんどうです。社会保険関係は一人会社の場合であれば、やらなくても特に問題ないとも言えますが。
この税務署への法人設立の届け出の際には定款と履歴事項全部証明書が最低限必要です。
が、現物出資している場合はこれとは別にその内容が分かるようにしなければいけないようですので定款に記載していればその添付書類を作る手間が省けるというわけです。

ウェブサイト=営業権を現物出資した後の確定申告の事を忘れない

また、営業権として記載していますが必ずそうしなければいけないというわけではないと思います。様々なサイトを見てこの書き方が一番無難だろうと思い記載しましたが特に何の指摘もなく登記されました。営業権にすると調べると分かりますが税金や会計上の問題で厳密に処理しようとするとかなり面倒です。したがってソフトウェアなどとして制作にかかった費用などを計上するというやり方もあるようですがいずれにしても税金などを考慮すると税理士さんなどに相談したほうがいいと思います。

今の時代資本金1円でも会社は作ることができますが、登記簿=履歴事項全部証明書は誰でもとれる書類です。それにはしっかりと資本金がのっていますが資本金は大いに越したことはありませんね(実際は1000万円以下のほうがよいですが)
従って現物出資により資本金を大きく見せるのはビジネス上ありな作戦だと思います。登記簿には現物出資のことは一言も触れられておりませんので安心してください。

現物出資は税金がかかるおそれがある

ただ、前述のごとく税金のお話があります。

通常現物出資するのが多いのは法人成りの場合(個人事業主が法人化する)が多いとは思いますが、車やPC、あるいは不動産なんかも現物出資できますよね。
そうなると、個人の名義だったものを法人の名義に代える必要があるものもあったりします。
話がややこしくなるのでウェブサイトを現物出資する場合、つまり今回の私のように営業権として現物出資する場合そもそも税金が発生するのか?発生するとして法人にかかってくるのか?それとも私が払うのかは結構重要な問題です。

お気づきの通り、160万円も現物出資し、それが全て個人事業主の私の収入とみなされると来年払う住民税や国民健康保険税はかなり多くなることが予想されます。

ざっくり言えば営業権として会社にウェブサイトを売却して出資金としての資産価値がある(現実にはお金のやりとりはありませんが)ので譲渡所得がかかってくる場合があるということでしょうか。
ただ、色々と調べますと営業権、いわゆるのれんを簿価で譲渡している場合などは税金がかからないなど非常に複雑で正直素人にはわかりません。現物出資する場合と単に営業権を売却した場合では違いますからね。簿価で売却してしまうと資産はプラマイゼロですが、現物出資はあくまで出資分としては価値がありますし、簿価と言われましても資産としてそもそも計上していませんし、簿価自体の判断もよく分かりません。

ウェブサイトを現物出資したら会社の休眠が認められにくくなる可能性

会社を休業、或いは休眠状態にしても自治体に休業と認められなければ原則法人住民税均等割がかかってきます。
休業と認められて法人住民税均等割が減免される要件というのが実は決まっていて自治体によってはかなり細かいところをついてくる可能性があります。
そもそもウェブサイトなどを現物出資していてそのサイトが生きている状態だとまったく他に営業をしていなくても、或いはそのサイトを更新していなくても厳密には事業が継続しているとみなされる可能性が高いです。
ついにわが社の清算確定申告が終了し会社がなくなってすっきりした
法人の休業要件
従って休業しようと思う時は現物出資したウェブサイトを閉鎖するか、譲渡してしまうなどしたほうが確実だと思います。
ウェブサイトを現物出資したことは定款などを見れば分かりますし、自治体によっては設立した際に定款などを提出させているところもあると思います。また、休業する際には直近の貸借対照表や損益計算書を提出させるところもありますから注意して下さい。

現物出資する場合は税理士さんに依頼したほうがよい

会計処理としてどのようにすればいいのかはやはり税理士さんなどの専門家に相談したほうが一番いいと思います。いずれにしても法人税の申告を一人でやるのは個人事業の確定申告とは違いかなり面倒です。※私はこのようになりました→現物出資で法人なりした後の確定申告
現物出資にはこのようなデメリットも存在しますのでその点をよくご検討の上現物出資なされたほうがよいでしょう。
参考になる記事がありましたので貼っておきます→法人成り時の営業権の認識